罰金や延滞税が損金にならない理由

query_builder 2026/06/01 税務顧問

法人税の計算では会計上費用にしていても、そのまま損金にならない支出がありその代表例が罰金や延滞税です。

決算書では租税公課や雑損失に入っていても、申告では加算が必要になります。

固定資産税や事業税のように損金になる税金がある一方で、延滞税や加算税、罰金のように損金にならないものもあります。


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罰金・延滞税で注意が必要な理由

会計では、税金やペナルティに関する支出が発生すると、まとめて租税公課などで処理されることが多々あります。

例えば、固定資産税の本税は通常損金になりますが、これに対し納付が遅れたことで課される延滞税や延滞金は損金になりません。

その他、交通違反の反則金など法令違反に対する罰金や過料も同様に損金不算入となります。


条文上の整理

法人税法22条3項は、各事業年度の所得の計算上、損金に算入する費用や損失の基本を定め、

法人税法38条では、法人税や法人住民税など一定の税金を損金に算入しないとしています。

さらに、法人税法55条では罰金、科料、過料、課徴金のほか、延滞税、加算税、延滞金、加算金などについて損金不算入としています.

申告漏れ、納付遅延、過少申告などに伴って課されるものがこれに当たり、これらも法人税法上は損金不算入となります。


法人税法第22条

 第1項 内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。

 第2項 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除  き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。

 第3項 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
  一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
  二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
  三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの

 第4項以降 略


法人税法38条

 第1項 内国法人が納付する法人税(延滞税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税を除く。以下この項において同じ。)の額及び地方法人税(延滞税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税を除く。以下この項において同じ。)の額は、第一号から第三号までに掲げる法人税の額及び第四号から第六号までに掲げる地方法人税の額を除き、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
  一 退職年金等積立金に対する法人税
  二 国税通則法第三十五条第二項(申告納税方式による国税等の納付)の規定により納付すべき金額のうち同法第十九条第四項第二号ハ(修正申告)又は第二十八条第二項第三号ハ(更正又は決定の手続)に掲げる金額に相当する法人税
  三 第七十五条第七項(確定申告書の提出期限の延長)(第七十五条の二第八項又は第十項(確定申告書の提出期限の延長の特例)において準用する場合を含む。)の規定による利子税
  四 第一号に掲げる法人税に係る地方法人税
  五 国税通則法第三十五条第二項の規定により納付すべき金額のうち同法第十九条第四項第二号ハ又は第二十八条第二項第三号ハに掲げる金額に相当する地方法人税
  六 地方法人税法第十九条第四項(確定申告)において準用する第七十五条第七項(第七十五条の二第八項又は第十項において準用する場合を含む。)の規定による利子税
 第2項 内国法人が納付する次に掲げるものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
  一 相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)第九条の四(受益者等が存しない信託等の特例)、第六十六条(人格のない社団又は財団等に対する課税)又は第六十六条の二(特定の一般社団法人等に対する課税)の規定による贈与税及び相続税
  二 地方税法の規定による道府県民税及び市町村民税(都民税を含むものとし、退職年金等積立金に対する法人税に係るものを除く。)
 第3項 内国法人が他の内国法人に当該内国法人の通算税効果額(第二十六条第四項(還付金等の益金不算入)に規定する通算税効果額をいう。)を支払う場合には、その支払う金額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。


法人税法55条

 第1項~3項 省略

 第4項 内国法人が納付する次に掲げるものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
  一 国税に係る延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税並びに印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の規定による過怠税
  二 地方税法の規定による延滞金(同法第六十五条(法人の道府県民税に係る納期限の延長の場合の延滞金)、第七十二条の四十五の二(法人の事業税に係る納期限の延長の場合の延滞金)又は第三百二十七条(法人の市町村民税に係る納期限の延長の場合の延滞金)の規定により徴収されるものを除く。)、過少申告加算金、不申告加算金及び重加算金
  三 前二号に掲げるものに準ずるものとして政令で定めるもの
 第5項 内国法人が納付する次に掲げるものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
  一 罰金及び科料(通告処分による罰金又は科料に相当するもの及び外国又はその地方公共団体が課する罰金又は科料に相当するものを含む。)並びに過料
  二 国民生活安定緊急措置法(昭和四十八年法律第百二十一号)の規定による課徴金及び延滞金
  三 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定による課徴金及び延滞金(外国若しくはその地方公共団体又は国際機関が納付を命ずるこれらに類するものを含む。)
  四 金融商品取引法第六章の二(課徴金)の規定による課徴金及び延滞金
  五 公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)の規定による課徴金及び延滞金
  六 不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)の規定による課徴金及び延滞金
  七 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)の規定による課徴金及び延滞金
  八 スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律(令和六年法律第五十八号)の規定による課徴金及び延滞金

 第6項 省略


例外で損金算入になるもの

法人税や地方税の申告期限は原則事業年度終了の日から2か月以内ですが、延長の申請をしこの延長された期間に対応する利子税(国税通則法第64条)は罰金ではないので損金に算入できます。

社会保険料の納付遅延に伴う延滞金も罰金の性質がありますが、法人税法55条の規定で挙げられていないため損金算入できます。


申告での処理

罰金や延滞税は、会計では租税公課として費用計上されることが多々あります。

ですが、これらは法人税の申告では損金不算入として加算されるため租税公課の明細を見て、本税と附帯税を分けて加算漏れを起こさないようにすることが非常に重要です。


おわりに

罰金・延滞税が損金にならないのは、これらが通常の事業費ではなく、違反や遅延に伴う不利益であり、これを損金にすると制裁の意味が薄れ、納税の公平も崩れるため、法人税では損金不算入とされています。

日々の集計の中で、税金かどうかだけで判断せず、本税なのか、附帯税なのか、制裁的な支出なのかを見分けることが非常に重要です。

租税公課の中身を税目ごとに確かめ管理することで、加算漏れなどのミスはかなり防ぐことができます。



免責事項

本記事は2026年5月時点の法令等に基づく一般的な解説です。罰金、延滞税、加算税等の損金算入可否は、支出の内容、税目、事実関係、会計処理によって判断が変わることがあります。実際の処理や申告にあたっては、最新の法令・通達を確認のうえ、顧問税理士等の専門家にご相談ください。

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