修繕費と資本的支出の違い
設備の入替えや内装工事が続くと、経費なのか資産にするのか判断で迷うことが多々あります。
資産にする支出を資本的支出といい、修繕費になる支出を収益的支出と言います。
どちらに該当するかで会計の計上や、法人税の計算に影響が生じるため、その判断はとても重要になります。
目次
-
修繕費と資本的支出が論点になりやすい理由
-
税務上の位置づけ
-
修繕費になりやすい支出
-
資本的支出になりやすい支出
-
-
修繕費と資本的支出のフローチャート
-
おわりに
修繕費と資本的支出が論点になりやすい理由
修繕費はその期の損金となりますが、資本的支出は固定資産の取得と考えられます。
資本的支出の場合、減価償却費として耐用年数に応じて損金となります。
最終的には同額が損金になりますが、計上のタイミングがずれるためその間の税額も変わってくるため、論点になりやすくなります。
さらに工事は見積と請求が一式になりやすく内容が読みにくいため、税務上の判断が難しくなります。
税務上の位置づけ
資本的支出については法人税法施行令132条で、具体的な当てはめは法人税基本通達7-8-1以降で示されています。
現状回復や維持管理が中心なら修繕費の判断が多くなり、改良やグレードアップが中心なら資本的支出の判断となります。
この判断は工事名ではなく、実態で判断していくこととなります。
修繕費になりやすい支出
修繕費は壊れた部分の取替え、雨漏りの補修など固定資産を元の状態に戻す色合いが強い支出です。
目的が通常の維持管理、および原状回復のため等の消極的な支出であれば修繕費と判断されやすくなります。
資本的支出になりやすい支出
資本的支出は固定資産の価値を高めたり、使用可能期間を延ばす支出です。
設備を高性能なものに入れ替える工事、用途変更を伴う大規模改装は資本的支出と判断されやすくなります。
同じ空調でも単なる故障交換なら修繕費、能力アップを伴う更新であれば資本的支出となりやすいですが、設置当時と現在では全く同じものがスタンダードとは限りません。
省エネなど当時より性能が上がっているからといってすべて資本的支出になるという短絡的なものではありませんので、資本的支出に該当するか、修繕費に該当するか慎重に検討する必要があります
修繕費と資本的支出のフローチャート
修繕費の判定には少額基準や周期基準があります。
法人税基本通達には少額又は周期の短い費用は修繕費として取り扱える旨が示されており、画像がそれをまとめたフローチャートとなります。
支出が20万円未満である場合や、おおむね3年以内の周期で行う修理改良は修繕費となります。
資本的支出か修繕費かが明らかでない支出について支出が60万円未満である場合又はその固定資産の前期末取得価額のおおむね10パーセント以下である場合に修繕費として処理できる考え方です。
ただし、60万円未満であれば無条件に修繕費とはならない、又は60万円以上だから修繕費にすることができないわけではありません。
60万円未満であっても「明らかに価値を高めるもの」であれば資本的支出になり、60万円以上でも「通常の維持管理」のものであれば修繕費と判断されます。
金額だけが独り歩きしがちな論点なので、注意が必要となります。
おわりに
修繕費と資本的支出は金額ではなく実態で決まります。
現状回復なら修繕費になりやすく、改良や寿命延長なら資本的支出になりやすいです。
混在する工事の判断は慎重に行う必要が生じます。
また、その判断について明確な根拠を残すことも重要となります。
本記事は現時点で入手できる資料に基づき一般的な情報提供を目的として作成しています。
具体的な税務判断は会社の規模、資産の内容、契約形態、事業供用の時期など個別事情で結論が変わりますので実際の適用にあたっては最新の法令、通達、申告書の手引きを確認のうえ税理士などの専門家へご相談ください。
なお本記事の内容を利用したことにより生じた損害について当方は責任を負いかねます。