2025年法人税の税制改正大綱:中小企業への影響
2024年12月20日に「令和7年度税制改正大綱」が公表されました。論点は多いのですがその中で、中小企業に影響のありそうなところをピックアップしました。
法人課税
中小企業経営強化税制の拡充や見直し、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)、非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の算定方法等の明確化など項目は多いですが、下記2つは業績のいい中小企業に影響があります。
中小企業者等の法人税の軽減税率の特例
次の見直しを行った上で、適用期限が2年延長されます。(令和7年4月1日から、令和9年3月31日までに開始する事業年度に適用されます)
① 所得の金額が年 10 億円を超える事業年度について、所得の金額のうち年 800 万円以下の金額に適用される税率を17%(現行:15%)に引き上げる。
② 適用対象法人の範囲から通算法人を除外する。
現在の法人税の軽減税率は令和7年3月31日で終了予定だったものが延長されました。
所得の金額が10億を超えなければ従来通りなので、おそらく多くの中小企業は影響はありません。
防衛特別法人税(仮称)の創設
防衛力強化に係る財源確保のための税制措置です。
法人税を基準に課税されるので、法人課税とあわせて記載しています。
【税額の計算方法】
(基準法人税額-500万円)×4%=防衛特別法人税
基準法人税額は次の制度を適用しないで計算した各事業年度の所得に対する法人税の額とする。
ただし、附帯税の額を除く。
イ 所得税額の控除
ロ 外国税額の控除
ハ 分配時調整外国税相当額の控除
ニ 仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除
ホ 戦略分野国内生産促進税制のうち特定産業競争力基盤強化商品に係る措 置の税額控除及び同措置に係る通算法人の仮装経理に基づく過 大申告の場 合等の法人税額の加算
ヘ 控除対象所得税額等相当額の控除
基準法人税額が500万円以上でなければ課税されませんので、おそらく多くの中小企業は影響ありません。
所得金額2,600万円で約490万の法人税なので、この辺りが目安だと思います。
余談ですが、法人税だけでなくたばこ税も同様の措置が講じられ、たばこ税率が令和9年4月、令和10年4月、令和11年4月にそれぞれ0.5円/1本引き上げられ、合計1.5円/本引き上げられます。
消費課税
外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売場制度)の見直しが行われます。
輸出物品販売場以外はほぼ影響がありません。
制度の不正利用や、輸出物品販売場の業務過多解決のための見直しとなります。
国人旅行者向け消費税免税制度の見直し
現状は外国人観光客が輸出物品販売場で一定の要件を満たした免税対象物品を購入する場合には免税対象となっていました。
改正後は消費税相当額を含めた価額で販売し、出国時に国外への持ち出しが確認された後に免税品購入者に返金するリファンド方式となります。
令和8年11月1日以後の適用となります。