交際費の取り扱いについて

query_builder 2026/02/16

交際費は損金になりそうでならない場面が多い費目です。

判断を誤ると法人税で損金不算入となります。

本記事では交際費等の基本ルール、会議費との違い、中小法人にある特例と大企業の取り扱いを整理します。


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交際費の税法上の取り扱い

交際費は事業と関係があっても私的消費との線引きが難しいため論点になりやすい項目です。

そこで交際費等については一般の損金概念とは別に損金不算入の特別ルールが置かれています。


交際費は会計上費用として計上されますが、租税特別措置法61条の4で交際費等を損金不算入とし、その上で一定の飲食費の除外や法人規模別の損金算入枠を定めています。


交際費等とは何か

交際費等の中心は事業関係者に対する接待です。

法人税法施行令の定義規定では得意先や仕入先など事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する金額が交際費等に当たるという枠で整理されています。


実務で迷うのは相手が事業関係者に当たるかという点と支出の性質が接待等に当たるかという点です。

取引先だけでなく紹介者や外注先や金融機関や不動産仲介なども事業関係者になり得ます。

新規開拓の見込み客も事業の関係性があれば該当する余地があります。

逆に社内の飲食であっても特定の役員や従業員だけを対象とした慰安であれば福利厚生ではなく、社内交際費として取り扱われます。


取引条件の維持や円滑化を狙う歓待やお中元やお歳暮や手土産や祝花などの贈答は交際費と判断されることが多いです。

 一方で支出が広告宣伝の性格を強く持つ場合は交際費から外れることがあります。

不特定多数へ広く行う景品や試供品などが該当してきます。

これは広告宣伝費だと言い張っても、特定の取引先だけに高額な贈答をする場合は広告とは判断されません。


福利厚生は全従業員を対象にした社内制度としての一体性が非常に重要となり、対象が限定されると交際費や給与課税と判断されることが多いので、注意が必要です。


交際費と会議費の違い

会議費は会議という業務に伴う費用であり、交際費とは異なります。

ここで重要なのは名称ではなく実態です。勘定科目を会議費にしても実態が接待であれば交際費等になります。

法人税基本通達では会議に通常必要な茶菓や弁当などの費用は会議費等として処理できるという趣旨の取扱いが示されています。

つまり会議としての中身があり参加者も業務上必要で費用も社会通念上相当であれば会議費となります。


社内の定例ミーティングで資料検討と意思決定が行われ軽食が付く場合、取引先を招いた打合せで議題があり短時間の飲食にとどまる場合は会議の実態が強いので、会議費と判断されやすいです。

反対に議題が形だけで主目的が歓談や接待である場合は交際費と判断されやすいです。

高級店で長時間の飲食や参加者が多く目的も曖昧な場合が交際費に該当してきます。


議題と出席者と会議時間と決定事項が残り飲食は付随的であると説明できる記録があれば、会議費としての根拠となります。


一定額以下の飲食費の除外

租税特別措置法61条の4に交際費等のうち一定の飲食費を交際費等から除外できる仕組みがあります。

いわゆる少額飲食費の取扱いでで、金額基準と記録要件をセットにしています。

2024年4月1日以後の支出からは一人当たり1万円以下の飲食費について一定の記載保存を前提に交際費等から除外できる取扱いが適用されます。


一人当たり1万円以下の基準は交際費すべてが対象ではなく、飲食費限定です。

贈答品やゴルフ代のような支出にはこの基準は使えません。

また飲食を行った年月日と場所と相手方の名称及びその関係性と参加人数と支出金額と飲食の目的といった、記録要件も重要です。

これらの記録はレシートだけでは不足することがあるため社内メモを添付する運用が有効です。



中小法人の交際費特例

中小法人は一定額の交際費の損金算入が認められています。

中小法人は租税特別措置法61条の4は資本金又は出資金が1億円以下の法人等で、大法人に完全支配される法人などは資本金が小さくても対象外となります。


中小法人は交際費等について年800万円まで損金算入か、接待飲食費の50%の損金算入の規定のいずれかを選択できます。

多くのケースでは年800万円枠を使うほうが有利になりやすいですが接待飲食費の構成が大きい場合は比較が必要となります。

どちらを適用するかは申告での選択となるため期中から集計を分けておくと判断しやすくなります。


中小法人では一人当たり1万円以下の少額飲食費を交際費から除外し、次に残った交際費等に対して年800万円枠を使うことで、損金算入の枠を最大限に活かすことができます。

集計の際の注意点として、交際費等の集計は会計科目単位ではありません。

会議費や広告宣伝費に入れたものでも実態が交際費等であれば税務上交際費として集計します。


大企業の交際費

大企業は交際費等について原則として損金不算入で、中小法人の年800万円枠はありません。

大企業でも「期末の資本金の額または出資金の額が100億円を超える法人」は交際費等全額が損金不算入となります。

上記以外の大企業は、接待飲食費については50%を損金算入でき、飲食以外の交際費等は基本的に損金不算入となります。

大企業では日々の経費精算や集計時に接待飲食費とその他の交際費、他科目に計上されている交際費を管理し、四半期決算又は申告時にこの管理を基礎として集計を行うことが多いです。


記載ルールと証憑の整え方

交際費等は否認されやすい費目です。

否認を避けるためには支出の目的と相手と内容を説明できる証拠を残すことが重要となり、特に少額飲食費の除外を使う場合は記録が必須となります。

中小法人の800万円までの損金算入で交際費と会議費の線引きが曖昧になったとしても影響がないことも多いですが、そもそもその支出が交際費なのか、私的なものかの論点もあります。


会議費として処理する場合も同様で、会議の開催記録、アジェンダや資料を保存します。

飲食が付随であることを示すために会議時間と飲食提供の範囲が分かる形にするとより高い効果を得ることができます。


おわりに

交際費の処理には順序があります。

まず支出が事業関係者への支出なのか、その支出が接待等か、会議の実態があるかを判定します。

交際費等に当たる飲食は少額飲食費の除外を検討し、残った交際費等について中小法人は年800万円の損金算入の対象となります。

一定の大企業は交際費は全額損金不算入ですが、それ以外の大企業は接待飲食費50%の損金算入で会計を整理します。

近年では2024年4月1日以降に少額飲食費は一人当たり5,000円から10,000円となりました。

税制は毎年のように改正されるため、適用日や金額基準は申告期ごとに最新の条文と通達改正の確認が必要となります。

疑問に思ったときや現在の適用要件を確認したいときは、専門家へのご相談をお勧めいたします。


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